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東野圭吾『手紙』
東野圭吾の『手紙』読んでみた。


東野圭吾、、気になる作家です。
『容疑者Xの献身』とかでおなじみの作家です。


遅ればせながら、さくらもちはこの『手紙』で東野圭吾デビュー!


というわけで、ブックレポ。
上手なブックレポではないけど、まだ『手紙』を読んでない人はここから先は読まないほうがいいかも。



話は主人公直貴の大学進学の費用を手に入れるために、兄剛志が強盗殺人を犯してしまうという始まり。
犯罪者の弟としての彼の人生の苦悩と兄への愛憎の葛藤を書いたもの。


テーマとしては、重いのよ。
かなり深く考えさせられるテーマ。


でも、読みやすい。3時間くらいで読みきったよ。
それくらい読みやすい。

なぜか・・?
人物描写が浅いからだと断じざるをえない・・かんじ。


直貴の心情はまあまあ奥まで書かれてるように思った。
でもね、彼の前に現れては消えていく、世間の人々にまで深く切り込んでいかないのが残念なところ。


東野圭吾はたぶん、本書で「犯罪者の家族」を取り上げるにあたって、
罪を犯すことの影響と重大さを描こうとしてるのだと思う。

犯罪者の家族は差別される。
たとえ自分が罪を犯してなかったとしても、犯罪者の弟というだけで、直貴も直貴の奥さんもそして、直貴の子どもまでも。
社会の底辺に突き落とされたら、そこから這い上がれないということも。
そんな差別が厳然と存在することをを明確にしたうえで、犯罪者の家族であるということは自分が犯した罪ではないものをも背負って差別の中で生きざるをえないということ。

たぶんそんなことを東野は言おうとしているのだと思う。

それに切り込んでいったのは、リアリティがあってすごくよかった。
変なミラクルが起こって、むりくりハッピーにもっていかないとこはよかった。


でもね、でもね、もっと書けたはずだと思う。
「直貴」という存在を大切に思いつつも、犯罪者の弟として色眼鏡で見てしまう市井の人の葛藤にも切り込む重厚さがあってもよかった。

「直貴」本人の才能にほれ込んだバンド仲間や、「直貴」を愛した恋人朝美の心情を描写しなかったために、「直貴」と「世間」という二極で語られてしまっているように感じざるをえなかった。

「直貴」があり、近い位置に家族があり、恋人や友人がいて、ちょっと世話になった人や同僚がいて、そしてその外に顔をみたこともない世間があるという、人間関係の多様さを無視しているとこが残念だった。


「直貴」に近しい人の葛藤が語られなければ、差別の本質と根深さを表現しきれてないような気がした。



そこは、読者が考えて~ってことなのかしら??


最後は感動したよ。
剛志が震える手で合掌しているシーンが。

縁を切っても、家族であるということを、兄を、弟を、愛してやまない人の絆には泣けた。

一読の価値はあり。ただし、文庫本で。

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[2009/12/16 20:17 ] | | コメント(2) | トラックバック(0)
沖で待つ
最近気になる作家。

絲山秋子。

『沖で待つ』で芥川賞とったひと。


最近改めてこの『沖で待つ』を再読。

話は、女性総合職として働く及川と同期の男性の太っちゃんの友情を描いてる。
バリバリと働きながらも、悩んだり、弱気になるような女性総合職が、女性らしい語り口調で太っちゃんとの日々のやりとりを語る中で、その奥にある同期同士の信頼感と絆を感じさせる作品。


及川と太っちゃんは、ある日協約を結ぶ。
「先に死んだほうが、相手のPCのHDDを壊す」
HDDには人には見せたくない秘密がつまってる。
恋人は大事な存在だけど、見せたくない。
でも、恋人は相手の全てを見ようとするから秘密がバレてしまう。

だから、同期と協約を結んで壊してもらう。


涙がでた。この本。

男と女の関係、恋愛関係じゃない関係も十分に存在すると。

私も同期は男ばっかだからかな。及川にいたく共感。
そんな恋愛対象か否かでしか相手を判断できないのはもったいない。

仕事っていう苦労を共にしたからこそ、つなぐことができる絆。
適度な距離と、親密さの絶妙な関係。


仕事中にすごい悔しいことがあって、私に涙見せた男の同期がいた。

男とか女とか関係なく同期だから見せていい。
先輩にも、後輩にも見せられない。


大きくなると、「恋愛」とか「友情」とか「知り合い」とかそういう言葉ではなかなか表現しきれない他者との関係をも築けるようになるのかな。
だから、無理に今までの他者と結んできた関係の枠にはめ込もうとすると無理が生じるのかも。

「沖で待つ」
・・・・なんて包容力に満ちた言葉だろう。
[2009/11/05 21:43 ] | | コメント(0) | トラックバック(0)
バタイユ
そろそろ2009年も終わる。ちょっと早いけど今年読んだ本の中で一番衝撃的だった本のブックレポ。
衝撃度第一位は・・・・
ジョルジュ・バタイユ 『エロスの涙』

バタイユはフランスの思想家で、ちょっと異端児っぽい。
無神論者でニーチェから深い影響を受けてるみたいだけど、究極的なテーマは「死」と「エロス」にしてるところがバタイユをバタイユたらしめてる感がある。難しい思想家でちょっと読んだだけは到底理解できない人物だけど、そこがまた面白い。ちなみに私は全然理解できてない・・。

本日のテーマ『エロスの涙』はバタイユの最後の著作。フランスでは発禁処分になったとか。写真や絵が超過激だからかしら?本人の思想的要素の根幹を作り上げた本国で発禁処分にされて東洋の人間が読むといういびつさ。。。

この本読んで、自分がフランス人だったら、というか、フランスの価値観、文化、宗教的環境に馴染んだ人間として本書を読んだら感じ方や理解度も違ってくるんじゃないかと思った。
西洋的な思想と東洋的な思想って厳然と存在すると思うんだよね、いくら世界が小さくなったとはいえ。そこに異文化理解の重要性を見出すわけだけど、社会科学の限界を感じてしまったりもする。

本書は、エロスの始まり(第1部)、終わり 古代~現代へ(第2部)、結論(第3部)の構成。一部で先史時代の死の意識と労働について、二部で戦争とキリスト教時代のエロティシズム、結論で宗教的供犠と中国の処刑の写真を使って死と性と生を論じてる。

バタイユの主張は、人間は生物の中で唯一生殖とエロティシズムを別個のものとして捉え、そのエロティシズムは死の前提条件と位置づけているところにあると思う。
エロティシズムとは目的の意識的な追求で、意識的でないものは人間的でないという。
死の認識の有無で、人間と動物を分けてる。

ここまで書いててもなんかうまくレポできてないような気がするわぁがっくりでもね、もっと面白いんだよ。
根拠の弱さもあって、学術としては?な部分も多くて批判的に読むのもまた一興。
その一方でなるほどね、みたいな部分もあって、特に労働の記述に関しては毛沢東思想との類似性も見え隠れ。

エグいものを見る勇気のある人にはオススメできる。
でも、マジ、写真とかエグいよ。一日ご飯食べられなくなった。
あと電車の中で読むのもやめたほうがいい。
[2009/10/26 22:27 ] | | コメント(0) | トラックバック(0)
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