今日はJICAでネパール政治状況の勉強会がありました。
しかも、長らくネパールにお住まいでネパール政治に関する本やジャーナルを書かれている小倉清子さんが講師としてお見えになりました。
わかりやすくてしかも、小倉先生の人脈からかなり深いお話まで聞けてとても勉強になりました。
ネパールの現在の政治状況は問題山積です。
何から書いていいのやら・・・?というくらい問題だらけです。
今のネパール政治を理解するのにマオイストの立場が大きなカギとなります。
マオイストは1996年に武装闘争を開始しました。
マオイストが武装闘争を始めた要因はあまたあると言われていますが、支持者が貧困層に多いことを考えると、低カースト、少数民族、女性などの社会から排除されてきた層の不満が噴出したこと、あるいはこの社会集団の支持をうまく吸い上げられたということ、に尽きるのではないかと思います。
その後ネパールは内戦に陥り2005年に停戦。
マオイストは総選挙で最大多数の議席を取るものの、与党にはならず今に至っています。
これには、革命集団(換言すれば武装集団)が政権を掌握していいのか?という議論とインドの外圧が挙げられます。
カトマンズで暮らしているとマオイストのいい話はあまり聞きません。でも、地方にいると状況は違うようです。
毛沢東思想はそもそも農民主体の社会主義思想から端を発しているわけで、労働者のそれとは毛色が違う。
支持基盤が農民であること、市民社会の成熟期をすっとばして社会主義革命を掲げたという点においては50年代・60年代中国と類似性があるように思います。
そんな背景が今のネパールにはあります。
目下の注目としては、政府とマオイストが締結した「包括的和平合意」に基づく和平プロセスが難航していることです。
一つは和平プロセスの仲介役として派遣されている「国連ネパール政治ミッション(UNMIN)」が来年1月に撤収することが決まって、今までUNMINが果たしてきた役割を誰が務めるのか、国連の介入がなくなってネパールだけでこれを進めることができるのか?ということです。
また今一つに憲法制定を2010年5月に予定していましたが、制定には至らず制憲議会を1年延長しています。今の状況だと来年5月に憲法制定は難しそうです。多分来年の5月あたりネパールは荒れそうです。
自分がここで生活していると政治の混乱はバンダ(ストライキ)とか政策決定の遅滞とかでダイレクトに感じます。
ただ、非常に興味深くもあります。やっぱり政治って大事です。
国民意識の成熟度も問題なんじゃないかなぁと思います。他民族国家であるがゆえの大きな壁。カーストも大きな枷になっていることは否定できません。
どこの国でも周縁化される集団はいる。
このほかにもいろんな問題がありますが、今日はこの辺で。
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